アラブ首長国連邦(UAE)初のカジノリゾートが、ラアス・アル=ハイマ首長国のアル・マージャン島に建設中です。2027年の完成を目指すこのプロジェクトは、ドバイのダウンタウンから車で約1時間半の場所に位置し、中東地域における新たな観光ランドマークとして注目を集めています。
2024年現在、ドバイにはカジノは存在せず、ドバイでのカジノ設置に関する公式な発表はありません。
現時点では、ラアス・アル=ハイマのカジノが唯一の具体的なプロジェクトですが、その存在が他の首長国でのカジノ設置可能性を完全に否定するものではありません。実際、UAEの他のエリアでもカジノ法案の審議が進んでおり、将来的に第二のカジノ建設の可能性は排除できません。
カジノリゾートはUAEの観光戦略における新たな挑戦として注目を集めています。法制度の柔軟な変化と経済発展の戦略を背景に、不動産投資の面で多くの関心が寄せられています。本稿では、UAEで進行中のカジノ建設プロジェクトとその将来性について詳しく紹介します。
ラアス・アル=ハイマでのカジノ
ラアス・アル=ハイマにはWynn Resorts(ウィン・リゾーツ)が進出します。
同社のCraig Billingsは、2027年初頭の開業を目指し、このプロジェクトが地域の観光業に革新的な変化をもたらすと強調しています。具体的には、2030年までに500万人以上の訪問者を誘致する目標を掲げています。
ターゲットは、UAEに住む970万人の富裕層。世界の億万長者の約20%を占めるこの顧客層に焦点を当て、高級リゾート体験を提供する戦略です。
この大規模投資は、ラアス・アル=ハイマに新たな活力を吹き込み、UAEの観光産業の更なる発展に大きく貢献すると期待されています。国際的なカジノリゾート企業による中東初の大型プロジェクトとして、今後の展開が注目されます。
ドバイでのカジノ
現在ドバイではカジノ法案の可決無しで、ラスベガススタイルのプロジェクト「The Island」が開始されました。
このプロジェクトは中国建設が12億米ドルで受注し、2017年以降ドバイで最大の建設計画として注目を集めいています。2023年MGMからはThe IslandにはMGMグランド、ベラージオ、アリアの3ブランドのホテル1,400室が建設されると発表がありました。
カジノ法案の進捗はありませんが、島の建設は進めているとのことです。そのため、リゾートアイランドとなる可能性もあります。
参考:https://www.meed.com/chinese-firm-wins-largest-construction-contract-in-dubai-since-2017
アブダビでのカジノ
MGMのCEOであるBill Hornbuckle(ビル・ホーンバックル)は、ドバイよりもアブダビでカジノのライセンスを取得できる可能性の方が高いと見解を示しました。ライセンス取得のプロセスには時間がかかるものの、ヤス島にできる可能性があると述べています。
MGMは2007年からアブダビでの2012年を念頭にしたプロジェクトを企画していましたが、2011年の段階で審査が降りず承認待ちの状況が続いています。
ヤス島はAldar社が島の開発と物件の開発に携わっており、現時点で開発の余地のある土地を考えると、ヤス島の北部に可能性があると考察します。カジノ法案の進捗に関しもいくつかの噂は耳にしますが、正式な発表には至っていないので最新の情報を追っていきたいと思います。
次のカジノ開発を想定した不動産投資
次のカジノの開発を想定した不動産投資をする場合は、アブダビがオススメです。
ラアス・アル=ハイマでは物件価格がすでに上がってしまっていることや、ドバイでのカジノ計画が進んでいないことを前提とすると、次にポテンシャルのあるエリアはアブダビです。
以下3点がカジノ開発を想定した、アブダビ不動産へ投資するポテンシャルです。
- アブダビ経済の成長速度
- MGMとカジノ以外の魅力
- Aldar社がアブダビの不動産需要と供給をコントロール
アブダビ経済の成長速度
現在、アブダビはオイルマネーを下支えに、UAE国内外さまざまな面への投資を進めています。
2024年の第二四半期のアブダビのGDP成長率は前年比と比べて4.1%上昇し、石油を含めないGDP成長率は6.6%となりGDPの55.2%を占めています。これに対してドバイは同時期3.2%の成長率でした。
アブダビのGDPはドバイの2倍以上あります。これはアブダビの石油の貯蔵量が世界で6番目に多いことと、ドバイでは石油が採掘されないことが起因します。実際にドバイ危機が起きた際にはアブダビが資金面での援助を行いました。
アブダビで外国人が不動産を購入できるようになったのは2019年からでまだ黎明期です。また、アブダビは現在オイルマネーを再投資している段階のため、不動産購入時の登録税も2%(4%:ドバイ)と金銭面的な余裕があります。「ドバイの2倍以上のある成長率」「オイルマネー」「カジノの可能性」を考慮するとアブダビへの投資はかなり魅力的です。
項目 | アブダビ | ドバイ |
---|---|---|
人口 | 378万人 | 375万人 |
GDP | 2,490億ドル | 1,050億ドル |
GDP成長率 (2024年第2四半期) | 4.1% (6.6%:石油を含まない) | 3.2% |
1人あたりの平均所得 | 13万ドル | 4.4万ドル |
GDP内にオイルが占める額 | 35.9% | 1% |
1番大きな企業 | ADNOC(石油会社) | Emirates Group(航空会社) |
MGMとカジノ以外の魅力
MGMリゾーツ・インターナショナルは、エンターテインメント産業における革新的なグローバル企業です。1986年に設立以来、ラスベガスを中心に、世界的な高級リゾート&カジノ事業を展開してきました。ラアス・アル=ハイマにできるウィン・リゾーツよりも収益や施設の数、従業員数において規模の大きい企業です。
MGMグランド、Bellagio (ベラージオ)、Aria (アリア)などの象徴的な施設を所有し、単なるカジノ運営を超えた包括的なエンターテインメントの体験を提供しています。デジタル時代への適応も積極的に推進しており、オンラインカジノやスポーツベッティング事業に果敢に進出しています。
カジノの候補地となっているヤス島やその隣のサディヤット島には、エンターテイメントや文化的な魅力があります。
ヤス島は、アブダビの代表的なエンターテインメント施設が集まる人気の観光地です。世界的に有名なF1アブダビグランプリの開催地として知られ、国際的なアーティストによる大規模コンサートや様々なスポーツイベントが年間を通して開催されています。
島内には、世界最大級の屋内型テーマパーク「フェラーリワールド・アブダビ」や、アメリカのアニメで有名な「ワーナー・ブラザース・ワールド・アブダビ」があり、家族で楽しめるアトラクションが充実しています。さらに2026年には、ハリーポッターワールドが新たにオープンする予定で、世界中から注目を集めています。
サディヤット島は、アブダビの文化芸術の中心地として発展を遂げている島です。ヤス島から車でわずか15分の場所に位置し、世界的に著名な文化施設が集まっています。
この島には、パリのルーブル美術館の分館や、ニューヨークのグッゲンハイム美術館の分館、そしてアラブ首長国連邦の歴史と文化を紹介するザーイド国立博物館が立地しています。さらに、日本発のプロジェクトとして、デジタルアート集団チームラボの施設や、世界的に有名な高級レストランチェーンのノブレジデンス、そして日本人建築家・高田浩一氏が手掛けたマムシャ・パーム(Mamsha Palm)も開発中です。
このように、ヤス島やサディヤット島にはカジノ以外にもエンターテイメントや文化的な魅力があり、カジノがなくても既に世界中の投資家が注目しているエリアとなっています。
Aldar社がアブダビの不動産需要と供給をコントロール
アブダビの開発に携わるデベロッパーはUAE最大手政府資本のAldar社です。開発中のプロジェクト約80%以上にAldar社が携わっており、アパート、ヴィラ、ショッピングモール、テーマパーク、学校、病院等、アブダビの全ての都市作りを行っています。
Aldar社が提供するヤス島やサディヤット島の物件は全て低層階となっており、ユニットの供給を抑え常に市場の傾向を意識した開発を行っています。これにより値崩れが起きない常に健康的なマーケットを維持しています。
おわりに
UAE初のカジノリゾートは、ラアス・アル=ハイマ首長国のアル・マージャン島に建設中で、2027年の完成予定です。中東地域における新たな観光ランドマークとなるでしょう。
次にカジノができる可能性があるのはUAEの首都アブダビです。「アブダビ経済の成長速度」「MGMとカジノ以外の魅力」「Aldar社がアブダビの不動産需要と供給をコントロール」これらの3点を考慮すると、アブダビでの不動産投資はかなり魅力的だと言えるでしょう。
不動産投資をお考えの方はご連絡を頂ければと思います。