アブダビのサディヤット島に位置する「Abrahamic Family House(アブラハムファミリーハウス)」は、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教という三大一神教の共存を象徴する画期的な施設です。この複合施設にはモスク、教会、シナゴーグがあり、異なる宗教の伝統と共通の価値観が尊重されています。

アブラハムファミリーハウスは、イスラム教徒、キリスト教徒、そしてユダヤ教徒のための3つの別々の礼拝所を持つ、対話と理解のためのセンターです。

展示を通じて、それぞれの信仰がどのように異なっているのか、そして3つの信仰に共通する基本的な原則について学ぶことができます。

アブラハムファミリー ハウス内の3つの宗教
アブラハムファミリー ハウス内の3つの宗教

訪問者は、宗教の歴史や共通点を学べる教育プログラムに参加でき、平和共存の重要性を体感できます。アブラハムファミリーハウスは、UAEの寛容と共存の精神を具現化する場として、世界中から注目されています。

アブラハム ファミリー ハウスの設立

アラブ首長国連邦(UAE)は、2019年を「the Year of Tolerance(寛容の年)」として宣言し、寛容さと人道主義を推進するためのグローバル・リーダーシップを支援するイニシアチブをとり始めました。

アブラハムファミリー ハウスの礎石
アブラハムファミリー ハウスの礎石

アブラハム・ファミリー・ハウスの礎石には、アラブ首長国連邦の大統領兼アブダビ首長であるシェイク・モハメド・ビン・ザーイド・アル・ナヒヤーン殿下、UAE副大統領兼首相でありドバイ首長であるシェイク・モハメド・ビン・ラシッド殿下、ローマ法王フランシスコ猊下、そしてアル・アズハル大導師のアハメド・アル・タイエブ博士が署名されました。

イスラム教:モスク

エミネンス・アーメド・エル・タイエブ・モスクは、2023年2月16日に落成しました。

ブラハムファミリーハウスのモスク
ブラハムファミリーハウスのモスク

このモスクの名前は、アル・アズハルのグランド・イマームであるアーメッド・モハメド・アーメッド・エル・タイエブ氏に由来しています。アブラハム・ファミリー・ハウスの一部であるこのモスクは、何世代にもわたる平和的共存を促進することを目的とし、すべての人々を温かく迎える庭園に面した空間を提供しています。

ブラハムファミリーハウスのモスク内
ブラハムファミリーハウスのモスク内

エレガントでミニマルなデザインが特徴のモスクは、7つのアーチで構成されており、イスラム教において重要とされる数字「7」の意味を反映しています。また、モスク内には300人以上が礼拝できる広々としたスペースが用意されています。

さらに、このモスクでは、宗教指導者や地域社会のリーダー、学者を招いたパネルディスカッションや講演会など、さまざまな教育プログラムや活動が定期的に開催されており、学びと交流の場としての役割も果たしています。

キリスト教:教会

聖フランシスコ教会は、13世紀に清貧の生活を貫いたアッシジの聖フランシスコにちなんで名付けられ、2023年2月16日に落成しました。

ブラハムファミリーハウスの教会
ブラハムファミリーハウスの教会

300人以上の信者を収容でき、カトリック教会としてバチカンが管理しています。

ブラハムファミリーハウスの教会内
ブラハムファミリーハウスの教会内

外柱のデザインは、受肉と復活を象徴し、モダンでありながら古典的な美しさを持っています。聖歌隊、ワークショップ、青少年プログラムなどの教育活動も行われています。

ユダヤ教:シナゴーグ

モーゼス・ベン・マイモン・シナゴーグは、12世紀のユダヤ哲学者にちなんで名付けられ、2023年2月16日に落成しました。

ブラハムファミリーハウスのシナゴーグ
ブラハムファミリーハウスのシナゴーグ

200人以上の礼拝者を収容できるこのシナゴーグは、UAEで初めて専用に建設されたもので、広々とした聖域や儀式用浴場(ミクヴェ)、学習ホール(ビト・ミドラシュ)を備え、アブダビで成長するユダヤ人コミュニティの中心的な存在となっています。

ブラハムファミリーハウスのシナゴーグ内
ブラハムファミリーハウスのシナゴーグ内

エレガントで時代を超越したデザインが特徴のシナゴーグは、祈りのための伝統的な避難所であるスッカのシンボルを取り入れています。また、シナゴーグでは、トーラー解説(Divrei Torah)やキッズクラブなど、さまざまな教育プログラムや活動が定期的に開催されています。

アブラハムファミリーハウスの基本情報

アブラハムファミリーハウスの外観
アブラハムファミリーハウスの外観

公式ホームページ:https://www.abrahamicfamilyhouse.ae/

  • 月曜日から日曜日:午前10時〜午後5時(要予約
  • 無料ツーアーガイドあり(英語)
    英語でのガイドとなりますが、アブラハムファミリーハウスの概要や建築様式など詳しく話を聞くことができます。
    運が良ければ現地スタッフで日本語の堪能な人がいるので、その人からは日本語で説明をしてもらえます。

入場料

  • 入場料は無料です(当日でも予約可能です)
    現地でもチケットを購入することは可能ですが、事前予約をオススメします。
  • 予約が必要です

予約ページ:https://www.abrahamicfamilyhouse.ae/

服装に関して

イスラム教のモスクでは女性は肌が露出いない服装に加えて、アバヤの着用が義務付けられます。

女性は腕は手首まで隠れ、足はくるぶしまで隠れているゆったりとした服装かつ髪の毛を露出しないためのアバヤ(スカーフ)を着用する必要があります。体のラインが出る服や、髪の毛の露出はNGです。

男性も、ダメージジーンズや水着やショーツはNGなので気をつけましょう。靴に関してもビーチサンダルなどカジュアルすぎるものも警備員に止められる可能性があります。

モスクでの服装
モスクでの服装

未来へのメッセージ

アブラハムファミリーハウスは、未来に向けたメッセージを発信する場でもあります。異なる信仰を持つ人々が共に生き、共に学ぶことの重要性を強調し、平和で調和のとれた社会を築くためのモデルを提供しています。この施設は、未来の世代に向けて、宗教や文化の違いを超えて共存することの意義を伝える重要な役割を果たすことになります。。

おわりに

アブラハムファミリー ハウスは、アブダビにおける宗教共存の象徴であり、UAEが掲げる寛容の精神を具現化する場です。

異なる信仰を持つ人々が共に集い、互いに学び合うことができるこの施設は、世界中の人々にとって平和と理解のメッセージを発信し続けています。文化や宗教に興味を持つすべての人々にとって、アブラハムファミリー ハウスは必見の場所であり、訪れることにより心に深い感動を残すことでしょう。